ヒレン
「智子?」


「和くん?」


「どうした?」


本当にどうしたんだろう。



「声、聞きたくなって」



「…バカ」



バカだよね。でも、声を聞かなきゃ不安で不安でいっぱいになった。


好きだよ。


好きだよ。


好きだよ。和くん。



「お休み。明日もがんばろうね」



「ああ。お休み」



通話を切った瞬間、智子の瞳から涙が溢れ出した。



止まれ。止まれ



秀明(かれ)が簡単に扉を開けてくる理由は多分気付いてる。


彼の心の扉についた鍵を、開け方を、知っている気がするから




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