刀人―巡りめく戦乱の中で―
「まぁ、それは置いておくとして殺すか殺さないかの話だが」
話を戻した重祢の瞳はすぐさま冷え切ったものに切り替わる。
お願いだから
「答えは至極簡単」
その先を言わないで欲しいと望むのは
「…………殺す」
浅はかな思想だろうか。
短く切られた言葉が研ぎ澄まされた空気に斬り込むようにして溶けた。
静かに風が流れる。その風に乗って運ばれてくる無残さの中に遣る瀬無さだけが残った。
僅かな血の香りを漂わせる彼の本来の姿なのだろう。真っ直ぐ見据えるその目は曇り一つない残酷にも綺麗な瞳。今に限り男は嘘一つ言っていないだろう。
私一人ではこの人数を相手にすることはできない。