ソレデモワタシハアナタヲアイス
「居ないなら確率ゼロじゃないよね?ちょっと前向きに考えてくれないかな?」
美咲の切れ味の良い台詞が返って来ない。
俺は体育館に戻ろうとした足を止めて再び耳を澄ました。
沈黙が続く。
―――何でキッパリ断らねぇんだよ―――
何故、美咲がいつものように容赦の無い台詞を出さないのかが分からず、俺は焦り始めていた。
けれど、ふと思った事に焦りはすぐに消えた。
今だけではなく俺が告白をした後もこうやって俺の知らないところで他の男から呼び出しを受けていたのだとしたら…。
理由の分からない怒りが込み上げて来た。
俺は後先を考えずに一気に角を曲がった。
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