部屋替屋

「ちよさん痛いよ!」

「れんしゅう。はやくはじめないからひま。」


「早く姉ちゃんのとこに帰りたいんだね。」
さっきは焦るなって言ってたくせに。

どすっ!

「はやく。あせるな。」

「…無茶言うなあ。」


 住吉は息を吸い込むと、歌いだした。道場の前を通りかかった者の耳に入れば、烏の鳴き声にしか聞えないその歌声は、綺麗に部屋にしみ込んでいく。

 やがて、その狭すぎる部屋は輪郭を淡くしていき、外観に合った広さと道場としての内装が現れた。
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