Star Dust ~星のカケラ~
「店の薬草借りるよ。レイ」


「ああ」



ユズの額に水で絞ったタオルをのせる。


気休めに過ぎないだろうが…



ベッドの上ではユズが肩で荒い呼吸を繰り返している




「ったく、姉貴のやつ、薬師のくせに気付かなかったのかよ」



「ちが、ロザリーさんは悪くない」


苦しい息の中、必死の言葉をつないだ



「わかったから。喋るな」



部屋の扉が開き薬湯の入った器を持ったジェシーが入ってきた


「これ全部飲ませて。今もう一つ作ってくるから」




レイに薬湯を渡すとジェシーはまた店の方へ戻っていった。



「起こすぞ」



ユズの背中に手を入れ少しだけ上半身を起こさせ、薬湯を口元に当てた。



「苦しいかもしれないけど少しずつでいいから飲め」



「っう…」




朦朧とする意識の中、少しずつ流し込まれる液体を必死に飲み込んだ。



苦い味が口中に広がる




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