溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
コツコツとドアをノックされる音に気づいて、苦笑してしまう。
透子には俺の事ばかりを考えるように仕向けてフランスに来たのに、俺の方が透子の事ばかりを考えてるなんてな…。
肩をすくめて気持ちを切り替えて、部屋のドアを開けた。
「…雪美?どうした…?」
部屋の前には、いつものスーツから、あっさりとしたワンピースに着替えてる雪美が立っていた。
気のせいか思い詰めているような表情に、少しの罪悪感と申し訳なさ。
「…どうした?」
ん?と向ける俺の言葉に
「だめかな…?一緒にいちゃだめかな」
俯く事なく…小さいながらもはっきりとした声で俺の目を見ながら。
「やっぱり…好きなの
真田君が好きだから…
一緒にいたい」
「ごめん。俺には…」
「知ってる。恋人がいるって知ってるけど、長い間結婚しないままだし…お見合いする気にもなったし…やっぱり私にチャンスはないの…?」
雪美の口から、そんな切ない言葉を聞く度に、どうすれば雪美を傷つけずに俺への執着を捨ててくれるんだろうかと落ち込んでしまう。
透子という存在を知っていながらぶつかってくる雪美を邪険に扱おうとすればできるにはできるけれど。
同期としての結束の強さの枠の中で、雪美のいい所も努力している所も弱い所も知ってるせいか、簡単に突き放すなんてできないまま。
好かれた側の勝手な願いの一番は、雪美を幸せにしてくれる俺以外の男と出会って欲しい…。
はぁ…。
小さくため息をついて。
「下のロビーで話そう。
着替えてから行くから、先に行っててくれ」
まさか俺の部屋で二人きりになれるわけもなく。
がっかりと瞳がくもった雪美にそう言って、部屋に戻った。