溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
頷きながらか細く笑って。

「本当に長い間真田くんの事が好きだったから、その時間を無駄にすることが怖くて諦められなかった。
ううん…諦めてる自分を受け入れられなくて…
ずっとひきずってた」

「…雪美」

「彼女といつまでも結婚しないし…私にもまだチャンスはあるかな…とかお見合いをしようとしてるって聞いたらもう…
絶対諦めないとか思っちゃった」

力無く呟く口元は、微かに震えているのがわかる。
仕事もできて、見た目だって男なら皆振り向くような上等さ。
客観的に見れば、こんないい女からずっと想われて嫌な気持ちにはならない。
それでも俺の心を掴んで離さない女の存在がある幸せを知っている俺の中には、雪美を側に置く位置はない。

「…俺のどこが良かったんだ…?」

ずっと引っ掛かっていた疑問を投げると、くすっと笑って。

「…顔。性格…仕事できるとこ。
挙げれば幾つもあるけど結局はわかんない。
好きになっただけ。
そして諦められなかっただけ」

じっと俺を見つめる視線に戸惑いはなくて、震えていた口元にも少し優しさが見える。

「真田くんを好きだった今までの時間を取り戻せないけど…真田くんを諦めたこれからを楽しめるように…幸せを感じられるように…
尚志が音楽をふっ切ったようにね…」

失った時間は取り戻せない…。
透子にしても俺にしても、足掻いて苦しんで諦められなくて、空虚な時間を経て今がある。

尚志も雪美も…いつか。

それはきっと遠くない。

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