溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
会社の大きな催しの度にアマザンホテルを使っているせいで、濠と顔見知りも何人かいた。
そのおかげか、すんなりと宴会の中に溶けこんだ濠は私の隣に座って機嫌良く飲みはじめて。
出張からどうして早く帰って来たのかを聞きたかったけれどなかなか聞けないままで時間は過ぎていった。
昴と彩香ちゃんの結婚祝いの宴会だと思っていたのに、結局は昴達が開いてくれた私の大賞受賞のお祝い…そして私と濠の結婚のお祝いのための宴会だったと知らされて驚く以外にどうしようもなかった。
それに、昴が濠と連絡を取り合っていて、今日の宴会にわざわざ呼んだり。
彩香ちゃんもそれを知ってたり…。
気になる事ばかりが心の中に大きくなっていく。
私が知らない所で、私に関係する大切な事が進んでるのって、決して気分のいいものではないし…。
戸惑いを感じても仕方ない。
隣にいる濠は、普段私に向ける笑顔以上に優しい笑顔を周囲に振りまきながら、たまに私と目が合うと、意味深な口元を見せるだけで。
一週間ぶりに会ったっていうのに。
まだフランスと日本の距離が二人の間にあるようで、寂しくなってくる。
手元のグラスに残ったビールを一気に飲み干すと、いつの間にか隣に来ていた冬李くんが新しいビールを注いでくれた。
「あ…ありがとう」
少し驚いて、慌てて笑いかけた私に、冬李くんは
「まさか大賞取るなんて思わなかったですけど、こんなに早く結婚するとも思わなかったです」
どちらかと言えば冷たく見える切れ長の目を私に向けてからかい気味に囁いた。
くすっと笑う顔は年下とは思えなくてどこか落ち着き払う様子に、同期内のまとめ役だって納得する。
「結婚早いって…もうすぐ30歳になるのに。
世間じゃ遅いくらいでしょ」
「まぁ…そうですけど、俺がもう少し一人前になってから結婚して欲しかったですよ」
「はぁっ?」
何だか思ってもみなかった冬李の色っぽい言葉が私の動きを止めてしまう。
じっと見つめる冬李の目はどこか真剣で…交わる視線を外せない。