溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
『透子さん、今打ち合わせみたいでしばらくは席に戻らないんですけど…何か伝えましょうか?』

いつもの声音で控えめにそう言ってくれる彩香ちゃんに、どうしようかとふっと悩んでしまう。

受賞の事実をどうして隠してたかなんて。

俺が透子から聞いてなかった事を敢えて言うべきでもないよな。

軽く息をつくと

「いや、大した用はないんだ…。また連絡するから」

そう軽く言ってる言葉とは逆に心はかなり波打ってるんだけどな。

『あ、真田さんと透子さん、遂に一緒に暮らすんですか…?』

「…え?」

『あの…、透子さんこの週末に引っ越すから…真田さんも一緒に越してくるのかなって思って』

「引っ越し…」

呆然と呟く俺の低い声に戸惑う彩香ちゃんの慌てぶりが、電話を通してでもわかる。

『あ…真田さん…もしかして…』

「あ…。今初めて知ったよ」

『そんな…』

黙り込む彩香ちゃんに、申し訳なく思いつつも。

聞いたばかりの事実が俺を飲み込むようで、何も考えられない。
透子が引っ越すってどういう事だ…?
それも、今週末?

何がなんだかわからない。

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