溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
『真田さん、今日退社後に昴と結婚式の打ち合わせにアマザンに行くんで、ちょっと会えませんか?』

「え?」

『透子さんの引っ越しの事…知らなかったんですよね…?』

小さな声で、探るように気を遣う口調の彩香ちゃん。
俺が透子から何も聞いていなかった事を察してくれたようだけど…。

「透子の引っ越しって…どこ?」

『本社勤務になるんで本社の近くです。
とはいっても、今の透子さんのマンションからでも十分通えるのにわざわざ引っ越すって聞いて…。
これはもう、いよいよ真田さんと結婚かなって思ったんですけどね…』

残念そうに、そう呟く彩香ちゃんの声をどこか遠くに聞きながら、俺の鼓動はどんどん跳ね上がっていく。

ホテルのロビーの片隅に立ちすくみながら、彩香ちゃんから聞かされる言葉に戸惑って。
それでも、何故か納得できる自分も感じている。

透子の部屋から消えていた石鹸のコレクション。
他にも、積み上げられて整理されていた雑誌…。

引っ越しの準備なんだろうな…。

「彩香ちゃん…。
もし可能なら、透子の新しい住所調べてくれる?」

不安で微かに震える手をなんとか反対の手で支えながら、彩香ちゃんに頼んだ。

…透子?

一体何を思ってるんだ?

あれだけ俺に抱かれて。
好きだって何度も呟いて…どんな気持ちでいるんだ…?
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