溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「覚悟…?」

濠の言葉の意味がわからなくて、視線を上げた。
諦めや穏やかさや優しさ…今までに濠に向けられた愛情にはない感情が表れていて不思議な気持ちになる。

普段から、露骨なまでに私への愛情を見せて縛る濠の強気な態度とはまた違うけれど、濠の中にある芯の強さが見えていて更に私は濠に囲われてる実感…。

「大賞とったって聞いてからある程度予想はしてたけど。
しばらくはいろいろあるだろうな…」

「…なんの事?」

「ん…?雪美ですら慌てて俺に電話してくるんだ。親しい身内やなんかはもっと驚いてるだろうし」

「あ…雪美さん…なんで私の事…知ってるの?」

違和感。
そう、さっき濠にかかってきた雪美さんからの電話に感じていた違和感。
直接会って話した事もないし、仕事上のからみのせいか私との関係を公にしない濠が具体的に私の存在を言うとも思えないし。

一方的に私が雪美さんの気持ちを意識してるだけ。

そんな私の戸惑いに、濠は苦笑しながら、ふっと目を逸らした。

え…?

何で?

雪美さんの事を聞いても今までならさらりと答えてくれて、単なる同期だと言っていたのに…。

私の目をみないでいる濠…。
とくんと鼓動が速くなる。思わないでもなかったけれど…雪美さんの気持ちに対して濠が何か応えたりしたのかな。

一週間の出張中に何か二人にあった…?

聞くのも怖くて、ただ濠の横顔を見つめるだけの私…。

そんな私の気持ちを知ってか知らずか、小さく息を吐いて。
相変わらず視線をそらしたまま。

「雪美だけじゃないんだ。みんな…フランスに一緒に行ってた奴らはみんな透子の事知ってる」

「え…?えっと…」

何の事か…よくわからないけれど。
少し赤くなったように見える濠の顔は、照れてるようにもうつる。

「フランス行く日に新聞に大賞の記事と透子の写真が出ただろ?
空港でその話題か出たから、俺の嫁さんになる女だって言ったんだよ」

嫁さん…。

ようやく私の目を見てくれる濠は、気のせいじゃなく照れてる。
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