溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「大賞の授賞式で、透子を見るのをみんな楽しみにしてるんだ…。
俺もな」

「濠…」

「だから…多分新聞の記事見て驚いた奴らから電話がかかってくるな…。あの有名な吉井新とのスクープだからな…くそっ」

大きいため息と一緒に、濠のげんこつが私の頭に落ちてきた。

「…気をつけろよ。記事になっていい気分になるなんてめったにないし。
俺だって気分悪い。

…とりあえず、後で新聞買いに行くか」

「…本当にごめん…。
でも、私には濠だけだから。会社がコメント出すって言ってたし、ちゃんと否定するから」

濠の腕を掴んで必死に言ってしまう。
私が油断して甘く見ていたせいで吉井さんとの記事が出てしまって。
思いのほか傷ついているらしい濠に気づいて。

私はなんて浅く考えていたんだろうと落ち込んでしまう。
相模さんや部長があんなに神経質になっているのもようやく理解できた。

記事になって世間に出てしまうという事は、その後の自分だけじゃなく周囲の大切な人も巻きこんで傷つけたりもする。

写真を見る前だっていうのに、既に濠も傷ついている。

「…本当…馬鹿だよな。
俺以外の男と記事になって。
どうせなら俺と一緒にいる時に撮られろよ」

「…そうだね…。ごめん」

「何かあれば、俺が守るから。
もう二度と俺以外の男と飲みになんて行くなよ」

諭すように言われて胸かいっぱいになる。

「ありがとう…。大好き」

そっと濠の首筋に抱き着いてぐっと力を入れて…。
泣きそうになる気持ちを堪えた。

束縛に罪悪感もなく、ただ私を独占して愛する濠に何の不満も不安もなく自然に受け入れる日々を過ごせていたのは、それが絶対に揺るがない濠からの愛情に基づくものだとわかってるからだと。

改めて気付かされる。

濠の気持ちは、穏やかなんて程遠くて、私への不信感だってあると思う。
恋人が自分以外の男と世間で噂になってるんだから。
かなりの葛藤があるに違いなくて。

それでも、そんなマイナスの要因全てを含めて。

私を抱きしめてくれる恋人が…心から愛しくて、側にいられる幸運を手放したくないって思う。
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