溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~




濠の胸に包まれて、しばらく気持ちを落ち着けていると。

携帯が鳴っている。
私のだ…。
濠をチラリと見ると、肩を竦めて苦笑している。

「さあ。透子の新しい人生の始まりだな」

「え…?」

「とりあえず出てみろ。
俺の言ってる意味がわかるから」

濠の言葉の意味がよくわからないままに、リビングで携帯に出ると

「透子ちゃんごめん。
俺が気を付ければ良かったんだけど、記事になってるんだ…。
見たか?」

「あ、吉井さんっ。
え…記事って、見たんですか?」

「あぁ。今お節介な女が…いや、いいんだけど。新聞に俺ら熱愛中って書かれてるな。

…悪いな。俺は慣れてるけど透子ちゃん初めてだから驚いただろ?」

「あぁ…まだ見てなくて、今から買いに行くつもりで…」

ふと、人の気配に振り向くと、眉を寄せてる濠が入口にもたれて…睨んでる…。

どう見ても怒ってる。
吉井さんからの電話だってわかってる…よね。

黙って私を見下ろす濠が気になるけど、携帯から聞こえる吉井さんの声も気になるし…。

どうしよう…。

「透子ちゃん、今家?
相模さんに聞いたけど、最近引っ越したんだろ?セキュリティは大丈夫か?
多分マスコミが調べてると思う。
しばらく家でおとなしくしてる方がいい」

心なしか慌ててる吉井さんの様子に、本当に新聞に出てしまったんだなって感じる。
さっき雪美さんからの電話もあったし、いよいよ私も気持ちを強くしなきゃいけないかな…。

濠の胸に包まれていた時のドキドキとは違う鼓動には緊張感しか感じられない。
マスコミからの注目一つで、周りは急に慌ただしくなる。

「私は…今自宅にはいないんです…。えっと…」

濠の家にいる事を伝えたいけれど、どう言っていいのか言葉がうまく出ない。

「え…?実家にいるの?多分実家にもマスコミ流れてると思うけどどう?」

「どうって言われても…わからなくて…。

私、違う場所にいてるんで何もわからないっていうか」

「違うって…あ、恋人?」

探るような声に、一瞬躊躇してしまったけど。

「はい、…そうです」

濠を見つめながら、はっきりと答えた。

「濠と一緒に…恋人といるから大丈夫です」

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