溺愛結婚!?～7つの甘いレッスン～
「今は透子だけだから」

そんな濠の言葉だって素直に受け入れるのは難しかった。
私を探しながら…女の子と遊んでいた濠。

私と再会してからは一切他の女の子との付き合いはないせいか、どんな気持ちでどんな風に付き合っていたのかはわからなくて。
自分を苦しくさせる想像しかできなかった。
私と離れていた五年は、確かに恋愛せず一人でいるにはもったいない時期だとわかっているし、人並みに大学生となって、おまけに見た目が女の子の気を引くに足りるなら。

女の子と楽しく遊んでいても仕方ないって頭ではわかっていた。

ずっと想いを残していた濠と再会した以上、濠がどんな状況であれ、また離れるなんて論外で。

過去を全てひっくるめて濠の側にいようって思った。

それでも、私に絶対的な愛情を向けてくれる濠に対して、どうしようもない切なさも…嫉妬に違いない割り切れなさも感じていた。

そんな私の気持ちを野崎さんはすぐに見抜いて

「お互いに好きで、再会できただけで幸せだろ。

今初めて会って愛し合うようになったと思って、濠を一から見るといいんじゃないか？

少なくとも…俺は濠が羨ましいよ…」

何かを思い出すように話してくれた野崎さんの言葉がわたしの中にあった針のように小さな穴をふさいでくれた。

濠に対して抱いていた距離や遠慮は、ふっと抜けていった。

初めて濠と出会ったつもりで…。
15歳の私が出会った濠を忘れるわけじゃなく、その周りに積み重ねていく新しい濠…。

私一人を愛してくれるに違いないと信じる強さと明るさを、野崎さんからもらった。

当時、柚さんという交通事故によって離れ離れになってしまった大切な人への想いを抱えていた野崎さんは、濠と自分を重ねていたらしい。

私と濠の再会から何年も後にようやく柚さんを取り戻した野崎さんが、証人として婚姻届にサインする事は、濠にとっては当然の事なんだろうな…。
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