溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
試着室に用意されていた中から選んだ衣装を着てはその都度濠に見せながら…。
濠は何も恥ずかしくないのか、それとも普段の仕事で慣れてるからか。
「やっぱり色打掛は赤地が映えるから、これがいいんじゃないか?」
とか
「ウェディングドレスはもっと派手で華やかなのがいいんじゃないか?」
と…。
試着を手伝ってくれている係の若い女性達が戸惑うのも気にせずに、自分の意見を次々と出しては私の側で励ますように笑っている濠。
いつもどんなイメージで仕事をこなしているのかはよくわからないけれど、絶えず私の傍らに立つ濠の様子が普段とは違うものだとわかってしまう。
濠が私へ見せる甘い視線や片時も離れようとしない態度に、衣装室の女の子達も驚いてるようで、私にもちょっと困ったような表情を隠そうとしなくて。
「…本当に…結婚するんですか?」
恐る恐る…というのがまさにぴったりの口調に
「あ…今日入籍したんです…よろしくお願いします」
慌ててそう答えた私に
「あ…おめでとうございます。
女の子達に人気あったんですけど、真田さん全く興味ないようだったんで…冷たい感じだったし…。まさか恋人がいて、しかもこんなに甘々な人だとは思わなかったです」
小さな声で囁く女の子は、私の着付けをしながらいたずら気味に笑っている。
「本当…透子さんとの結婚が嬉しいんですね。
真田さんのファンの女の子はショックですよきっと…あ…すみません…」
「いえ…。
私も突然でびっくりで…」
試着室の鏡に映る自分の顔も、明らかに驚きが表れている。
レースをふんだんに使ったオレンジのドレスに包まれた姿は確かに綺麗に見えるけれど、やっぱりどこか不安げで頼りない。
突然入籍して、こうして衣装合わせをしている今が信じられない。
私だって女の子だから、憧れていなかった訳でもないし、濠との結婚に夢をみた事もある。
でも、濠からは微塵もそんな様子をうかがう事なんてなかった。
ずっと一緒にいるだけで満足しているようだったし、私がひたすら濠を愛するのを喜んで受け入れてくれてるようで…それだけで幸せなんだと思っていたのに…。
濠の気持ちの変化の理由が…私の不安の原因…。