溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
濠は、私からそっと離れてさっき私が手にしていたお見合い写真を机にしまうと、大きく息を吐いた。

「透子が何に悩んでるのかわからなかった。
まさか俺の気持ちを誤解してるなんて思ってもみなかったけどな」

「私だって…濠が結婚したがってるなんて気づかなかったし…耳の事も不安だって…わからなかった」

「くくっ…俺は透子が側にいたら、透子が心配するような事はしないし言わない。
透子が過ごしやすくなる事だけを考えてる。
…それだけだ」

ぶれない瞳の力に圧倒されそうになる…。
私にはもったいないくらいに際限なく注いでくれる愛情に身震いしそうになる。

与えてくれる豊かな感情が私を包んで守ってくれる日々は当たり前じゃない。濠が抱える不安を乗り越えてきた幾つもの季節に裏付けされた努力の結果なんだ…。

「濠…ごめんね…いろいろ知らなくて…」

自分の想いばかりにとらわれて右往左往して、勝手に誤解して傷つけて。
濠の苦しむ時に力になってあげられなかった自分を怒りたくなる。

なんて身勝手な私だったんだろう。

「ちゃんと気づいてたら、濠の悩みを私が小さくしてあげられたのに…」

「無理だな。
…透子には、悩みを分け合うより幸せを倍にして笑って欲しいからな。
絶対悟られないように突っ張ってたし…。

それに、こんなに弱い俺は今だけだから。
この部屋出たら消すから。
透子も忘れろ」

照れてるのか…すっきりしているのか…どちらにしても濠にはこれ以上私だけを嬉しがらせて、弱い自分だけを見せる言葉を吐き出す様子はなくて。

「透子をいつも、幸せにしようとだけ考えてるから。
そんな自分を嫌いじゃない」

まるでいい聞かせるように私を喜ばせる。

私は頬に残っていた涙を手の甲で拭った。

濠が一人で乗り越えてきた苦しみを受け止められなかった悔しさ、その苦しみから解放したのが私ではなくて森下先生だった切なさ…。

私の涙に混じる色々な感情も一緒に拭ってしまおう。

「私も濠を幸せにしたいって思う自分が嫌いじゃない」

ずれていた二人の想いが少しだけ、寄り添えた気がした…。
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