溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
濠は、私が近くに立つと、机に積まれた書類の間から何かを取り出した。片手サイズの小さな…

「…え…写真…?」

目の前に差し出されたのは茶色の木枠のフォトフレーム。

「…これ…」

震える両手で、恐る恐る濠から受け取った写真には…。

「…私…?」

見上げると、濠はゆったりとした笑顔を私に向けていた。
これまで何度も私に与えてくれた優しくて穏やかな表情に、私の鼓動は速くなっていく…。
瞳の奥からも熱いものがこみあげてくる…。

「再会してからずっと、この写真はここにあるんだ」

あっさりと、そう言ってくれる濠…。

手元の写真を見ると、そこには初めて二人で旅行した時の私が笑っていた。
再会して出かけたのは雪景色がとてもきれいな温泉。一泊しかできなかったけれど、濠の運転する車での旅行は、四六時中一緒にいられる幸せに浸る夢のような時間だった。

旅行前には私の家族にも話をしてくれて、付き合いを認めてもらってくれて…。
私と濠の歴史の始まりだとも言える大切な思い出の旅行。

「変わらないだろ?
透子の可愛さは」

「…っ」

「今でも、俺の気持ちは変わってないから。
この笑顔の側から離れないって決めた気持ちはこの先も変わらない」

普段と変わらない淡々とした声音が、余計に私に響いてくる。
今思いついた言葉じゃなくて当たり前のように長い間濠の心に宿っていた気持ちだろうと、すぐにわかる。

…嬉しい…。

「透子が、気にしてるのわかってる。
…俺に特別な感情を持ってくれてる女がいたのも否定しない…雪美の事を意識してるのも知ってる。まさか雪美が告白してくれてるところ見られてたなんて思わなかったけどな」

くくっと小さく笑う濠からは、雪美さんへの特別な愛情のようなものが伝わってくる。
愛情…と思うと複雑な感情だけど、どちらかといえば好意を誰にでも振りまく性格じゃない濠には珍しい優しい口調に聞こえて複雑…。

やっぱり、濠の中で雪美さんは特別な位置を占めているんだな。

< 259 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop