溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「透子にはかなわないから安心しろ」

え…?

切ない想いに体中が包まれて、ぼんやりとしている私を濠は抱き寄せた。
腰に回された濠の腕から伝わる温かさが嬉しい。

体を濠に預けるようにして寄り添うと、更に強く抱きしめてくれる。
私の頭に唇を寄せて、くすくすと笑いながら。

「俺がこうして抱くのも…ま、それ以上の事をするのも透子だけだから安心しろ。再会してからは透子以外に体も心も揺れた事もないから」

「…うん…わかってる」

「確かに、雪美は俺に同期以上の気持ちを持ってくれて、それには応えられないけど…。

人間として…同期としてはいい女だし大切には思ってる。
付き合いも長いしな」

濠の胸に顔を埋めて、ゆっくりと入ってくる濠の言葉に集中する。
やっぱり、雪美さんは特別なんだな。
私との時間とは別に築かれた歴史もつながりもあるから、それを嫌がるなんてしちゃいけないんだってわかる。
…わかってるし、その相手が雪美さんじゃなく男の人ならここまで気持ちが落ちちゃう事もないと…。

思わず出てしまうため息はどうしようもなくて、せめて濠に気付かれなければいいけど…。

雪美さんという大きな存在に嫉妬してしまう自分を持て余してしまう。

私って…いつまでも、懐が狭いな。

「雪美の事、気にするなって言っても難しいのはわかるけど、ちゃんと俺の気持ちは言ってるし雪美も納得してるから大丈夫だ。

それに、どんな女だって透子にかなうわけないだろ。わかれよ、な」

相変わらず半分笑ってるような口調を続ける濠は私の背中をポンポンと叩いた。

「こうやって透子の写真を机に飾ってる俺を教えてやったんだし、安心しろ。
時間や距離で、透子以上に近くにいる女がいたって、こうして透子の写真見ながらリセットしてるんだから。
誰も透子にはかなわない」

私の気持ちを楽にさせるために、普段なら絶対に口にしないような甘い言葉か次々と落とされてく。
雪美さんの存在に不安がる私を思っての必要以上のリップサービスだとも思えるけど。

日にやけて色褪せたフォトフレームが、長い間濠の机に置かれていたと主張しているようで嬉しい。
この部屋で、私の存在を確かめながら仕事をしていた濠…。

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