溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「雪美とは、フランスでちゃんと話してるから。透子が不安になる事はないから。

…ただ…もう少し…時間が必要なんだ…。

俺は雪美に何もしてやれないし、するべきじゃないし。

透子はいい気持ちじゃないだろうけど…」

「いいのっ。私はいいの」

私に申し訳なさそうに呟く濠。きっと雪美さんへの情と私への気遣いの間で揺れてるんだとわかる。自信の見えない言葉は濠のこれまでには見られなかった弱さ。
私にはいつも余裕と強気な姿勢しか見せなかったから、違和感も感じるし何だか妙な気持ちになる。
それだけ雪美さんという存在は濠の中では別格なんだろうな…。

少しの乱れた感情と諦めが私の中に巣くってるって気付く。

「私は…いいの。同じだから。雪美さんと一緒だからいい…」

「…は?透子と雪美が一緒だって…それは違うだろ…」

少しだけ濠から体を離して、そっと見つめて。
明らかに戸惑ってる瞳。
濠にとっても雪美さんへの情は強いってわかる。

「雪美さんが濠に対して持ち続けてる気持ちがわかるし…濠を愛してるのは私と雪美さんは同じ。…長い間抱えてるんだよね…。

私も濠をずっと好きなまま過ごしてきて、この気持ちが変わるなんて思えないし。

雪美さんだって、簡単に気持ちは捨てられないし…。

だから…」

「だから…?」

「あの…雪美さんの気持ちを受け止めようって思ったの」

「…」

私の言葉に目を見開く濠。
やっぱり…。
雪美さんに対して嫉妬や不安を持たないなんて綺麗事は言わないけれど、それだけじゃない感情の方が大きい私…。

「人の気持ちは簡単に変わらないから…。雪美さんが苦しみながら濠を諦めようってしてるのはよくわかるから、それでいい…。
濠が私を愛してくれてるならそれだけで私は幸せだから。

だから…雪美さんが濠を愛してる気持ちを…受け止められるように頑張る」

「…透子…」

「でも…濠を愛してる気持ちは負けないから…」

意識した笑顔を濠に見せる。どうしても微かに震えてしまう声は隠せないけれど…。
雪美さんの気持ちを受け入れると決めて、意外にも気持ちは軽くなったから。

「真田透子にもなったんだし…私もいい女だって見せなきゃね」

ふふっと笑いながら、暖かい濠の体に抱き寄せられて。

幸せをかみしめた。
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