溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
私が結婚して、名前が変わった事は週明けに会社から公表された。
記事が新聞に出て以来、私以上に慌ただしく落ち着かない状態の吉井さんへの配慮と、コンクールの授賞式の時には
『真田透子』
として壇上に立って欲しいという濠の希望もあって、月曜日の午前中には会社のホームページに載っていた。
単なる会社員である私の結婚なんて誰が興味を持つんだろうと思っていた。ただ、コンクールの授賞式に絡む事務処理も必要だし、会社に提出する人事書類にしても結婚すると複数の手続きをしなくてはいけなくて。
黙ったままにはできない。
それならいっそ、社内外に告知してしまおう、と
相模さんの指示のもと、
公表した。
途端に新聞社や雑誌社からの問い合わせが広報部にあったらしく、反響の早さに驚いてしまった。
相模さんは、記事がもたらした騒動が私の仕事に影響がないかを気にしながらも、大賞受賞者としてのこれからの仕事を説いてくれたりした。
『単なる設計士じゃないから。
これからは業界の顔でもある。
仕事ぶりは注目されるし評価も厳しくなるって覚悟しろ。
それが大賞と一緒に背負うものだから』
…苦笑しながら話す相模さんは、まるで何てことのないような軽い口調だけど、目は真剣だった。
私にはその覚悟がまだないって見抜いてるような。
もう少ししっかりしろと背中を押されてるような。
確かに大賞をとった後に控えているあらゆる注目や、物理的に増える雑務のようなイベント。
これまでは表に立ったりリードして仕事をすすめる機会からは距離をおいていた私には苦痛にしか思えないこれからを考えると、心底憂鬱になってしまう。
逃げ出して、好きな設計だけをしてのんびりと生きていたい…。
もちろん濠の側で。
ふんわりまったり。
濠の存在感を感じる圏内でゆったりと…。
結婚して距離的には体も気持ちも近くなったけど。
私が望んでいた状態とは違って、自分からわざわざ忙しく慌ただしい立場に身をおいてしまってるような…。
あー。
去年の年末に覚悟してすすめてきた全てを後悔しそうで…ため息に変わる…。