溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
濠が私を愛してるにしても、罪悪感からの想いが大半を占めていると考えてしまった私には、更に精神的な追いうちを受ける現実を受け止めなければならなかった。

実の父親が建築家として有名であった事。
そして、既に亡くなっていて二度と会う事ができないって事。

本来の私なら、考えに考えてもなかなか行動に移すなんてできないのに、
マイナスの連鎖ばかりに囚われていた私はいつもの自分とは違う反応しかできなかった。
頑なになってしまった私は、まるで拗ねた子供みたいに壁を作って。

父親が人生を変える事を覚悟して参加した…私の手術が成功してつつがない人生を送る事ができるよう願いをこめて参加したコンクールに私自身も参加しようと決めて。

濠とも距離をおいて、逃げようと決めて。

年末から三ヶ月ほどは、自分が作った壁に囲まれて、周りに気を配る事もなく…感情を捨てていた。
濠への気持ちが大きすぎて、同じだけの愛情を返してもらえない悲しみに浸っていたのかもしれない。

…どちらにしても。

あの頃自分が下した結論に、今は後悔を感じている。
濠と結婚した今、その幸せにだけ笑って、濠の事だけを考えて毎日を穏やかに過ごしたいのに。

自らまいた種だとはいえ
建築家としての責任を呼び込んでしまった現実ばかりが大きくなっていく。
…望んでないのに。

ふう…。

幸せが更に逃げそうなため息を吐いてしまう…。
手元の図面もなんだかぼんやり。
仕事にならないな…。

「手伝いましょうか?」

「え?あ…ごめん…大丈夫」

隣の昴が私のため息に気付いて声をかけてくれた。心配そうな声に、申し訳なくなる…。

「…かなり抱えてますよね。俺も病院の設計やった事あるから手伝えますよ」

「ん…まぁ、大丈夫。
納期は間に合うと思うし、昴だって忙しいでしょ。でも、ありがとう」

「…結婚の発表して、またマスコミから取材の申し込みきてるらしいですけど…」

「あ…らしいね。
でも、私なんかの事、すぐに興味も消えると思うけどね」

ははっと笑いながら、低く漂っている心をなんとか浮上させようとしてみるけれど、私が作った笑顔には昴を納得させるほどの力はなかったみたいで、更に怪訝そうな表情を向けられた。
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