溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「えーっと…。
大丈夫だから…。
マスコミには会社が対応してくれるから」

「…それはそうですけど…」

相変わらず心配そうな昴に、小さく頷いて図面に視線を戻した。

そう。今は仕事に集中しなきゃ…。
目の前にあるこの図面だけじゃない。
昔私が望んでいた未来の一部は今叶ってるんだから。設計士になりたいっていう夢は叶ってる。

夢から現実へと形作る、その手助けをする仕事を生業とする事ができた私の幸せを実感するのは確かだし、手放したくはない。

設計以外に就きたい職業も浮かばないし…。

今まで携わってきた仕事を振り返ると幸せに感じる。
自分が充実して仕事をする…夢みた事が今は現実。
そんな人は世の中ほんの一握り。
何も悩まずに、ちゃんと仕事しなきゃ…。

「集中しなきゃね…。
会社にいる間は仕事だけ考えてなきゃね…」

ぼそっと呟いてしまった私の言葉に気付いたのかどうか。
昴は一瞬体を私に向けた。

「…透子さんの設計、俺は好きですよ」

その一言。

じんわりと…温かくて。
胸の奥深くで染み入る。

そんな簡単な言葉が嬉しくて、余計な事は考えずに、今私が置かれている現実を受け止めよう。
そう自分を叱咤して。

それでも憂鬱になる気持ちが、更に沈むような現実を予感させるように、
慌てた様子で私の席へ来た相模さんは苦しげな表情をしていた。

「また…何かありましたか?」

恐る恐る。
どう言おうか迷っているように言葉を選んでいる相模さん。

聞く私の予想を裏切る事なく、小さく息を吐いた相模さんは眉を寄せながら。

「小山内さんの事、マスコミがかぎつけたんだ。親子二代の大賞受賞って事で、かなり取材の申し込みがきてる」

…。

濠…。

単純に、濠の奥さんになった事を喜ぶだけの日々は私にはまだ先のよう。

濠…。

どうしよう。
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