溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~



私が『小山内竜臣』の娘だという事実は、吉井さんと一緒にいる記事からばれてしまったらしい。
吉井さんと一緒の写真の隅に写っていたファイル。
以前私が手掛けた物件をまとめたファイルは、父が生前作っていた物。
吉井さんから渡されたそのファイルは、私の涙を誘うのに十分な力を持っていた。
そのファイルを手元に置いて半泣きの写真を撮られてしまって以降、マスコミの注目がそのファイルに移るのは自然で。

そこから私が小山内竜臣の実の娘だと判明してしまったらしい。

「時期が時期だから、公表しないわけにはいかないな。
小山内さんをカリスマとして慕ったり目標にしてる人間は多いし、マスコミ的にも話題になる人だったから、娘だって知られたからには覚悟を決めていかないと…」

一語一語が重い。
相模さんの表情も硬くて。まるで私が悪い事をしたかのように思えてしまう。

確かに私は小山内竜臣の娘だから、それなりに覚悟はしていたし、敢えて隠していたわけじゃないのに。
わざわざ発表するのもおかしいし、第一私には父親との記憶がないから。
ほとんど一緒に暮らした事はないし言葉を交わした事もない…。

私にとっても憧れの建築家の一人だと言っても過言ではなくて…。

ただ、それだけでは済まされない娘としての切ない感情もあるから、その感情に押し切られるようにコンクールに参加したけれど。

父親が、私の手術の成功を願って参加したコンクールは彼の意に反するもの。
同じ立場に立ってみたいって思った私には、父親への回顧と謝罪もあった。

今となっては後悔していないと言えば嘘になる。

コンクールに参加しなきゃ良かった…。

何度も何度もそう思う。

「…親子だという事は広報部が認めてマスコミには発表する。
今後はどうなるかわからないけど、しばらく…マスコミには注意しろ。

葵も昔から悩まされてきたから、大変だって笑ってたな」

「はい…」

「真田くんに、守ってもらえ。
…まぁ、言わなくても…大丈夫そうだな。
かなりべた惚れだからな」

くくっとからかうような口調に、落ちていた気持ちが一瞬に熱くなる。
相模さんと濠には長い付き合いがあるから…何を言われても反論しにくいし恥ずかしかったりする。
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