溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「さっき、結婚式に出席して欲しいって電話があった。スピーチか乾杯の挨拶どちらか選んでくれって言ってたけど、どっちがいい?」

からかうような声。
そして、喜んでくれてるとわかる表情に嬉しくなる。
相模さんにとっては、私より濠との付き合いの方が長くて濃い。
同じ会社で働いている私だけど、相模さんの近くで仕事をするようになったのはごく最近。
職場も違っていたせいで接点のなかった私に対してよりも、濠が結婚するという事に対して嬉しさを感じてるんだろうと思う。
部下である私からじゃなく、濠自ら結婚式への招待をするっていう事も自然に思えるし。

ちょっと悔しい…かな。

設計をする立場の私の憧れの相模さんのより近くにいる濠が羨ましい。

「…葵も一緒に…。
葵だけじゃなく、透くんも一緒に出席させてもらえるように頼んだから」

「…え?」

葵さんは、相模さんの奥さん。以前は相模さんの部下だった。
双子ちゃんを出産後退職した人で、相模さんが大切にしている綺麗な女性。

「奥様…はわかるんですけど、透さんって…一体…?」

誰なんだろ…何となく聞いた事もある名前なんだけど…誰だったっけ?
透…透…。

「仁科透。葵の双子の兄貴だ。…設計やってるなら名前くらい聞いた事あるんじゃないか?」

「あ…知ってます…。
そうだ…仁科透…」

フルネームで聞くとわかってしまう。
若手の中ではかなり有名な設計士。
同じ業界にいなくても、その名前や顔は世間によく知られている。
相模さんの奥様の葵さんのお兄さん。
というより、ある意味伝説になっている建築家の仁科夫妻の忘れ形見という方が印象深いかもしれない。
透さんと葵さんが小学生の頃に交通事故で亡くなった仁科夫妻。
夫婦揃って著名な建築家で、私が今年受賞したコンクールの大賞も夫婦揃って受賞していた。
亡くなった後も、残された作品への評価は高く、未だに目標として仁科夫妻を挙げる建築家は少なくはない。

おまけに息子の透さんも葵さんも建築の世界で仕事をしている。

特に透さんはコンクールで大賞も受賞していて、親子二代の大賞受賞が当時話題になった。
見た目もいいせいか、世間を賑わせていたけれど本人は浮足立つ事もなく長く付き合っていた恋人…幼稚園の先生だったかな?…とあっさりと結婚
しちゃったな…。
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