溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
ベッドに並んで寝転ぶ私達は、何だか切ない空気に包まれたまま見つめあった。

この部屋に入ってきた時から感じてた濠の不機嫌さは、揺れる瞳の奥に見える灰色の感情がとって代わっていた。

濠の両腕が私の体に伸びてきて、優しく抱き寄せられた。

とくんとくん…。

ちょうど胸元に寄せられた私の頭。
後頭部を軽く押し付けられた体勢は、普段の朝とは逆になっている。

濠の鼓動を強く感じるなんて滅多にない。
まるで何かを語るかのような音は途切れる事なく一定のリズムを刻んでいる。

当たり前なんだけど、生きてるって実感して気持ちが穏やかになるんだな…。

濠が生きてる…って感じるのは当然だけど、この鼓動に反応するのか私の鼓動…手術によって再生された心臓の動きも知るようで。

私もちゃんと生きてる有り難さが染み入ってくる。

「あいつ…喬に女がいても。透子へ向ける気持ちは俺と同じ。好きだし大切なんだろうな。
俺に隠すような事もしないし。
多分、俺の知らない仕事中の透子を知ってる自信もあるしな。

…くそっ」

投げ捨てられた短い言葉の荒々しさに驚いたと同時に伝わる腕の力。
私を抱き寄せる力が強くなって、身動きがとれない。

こんなに感情の波を露骨に出す濠は滅多になくてそれだけでも困るけど…濠の嫉妬まがいの発言が続くから…どうしたらいいんだか…わからない。

でも、不思議と嫌な感じじゃない。

「喬は…私を大切に守ってくれてるし私も喬を大切に思ってる。
もしも…濠が言うみたいな感情を私に持ってても私は濠だけだし。
愛してるのは濠だけ。

だから…」

一拍置いて、小さく息を整えてから。

「だから、受け入れよう…。
喬の気持ちの本当のところはわからないし、はっきりさせるつもりもないけど…。
私が雪美さんの気持ちを受け入れたみたいに、濠も喬の存在は受け入れてね」

たどたどしさを拭う事はできないままだけど、背中に回ってる濠の腕に力がこもったのを感じた。
私が言いたい事、ちゃんと伝わった…と思える。

人の想いは何かをきっかけに突然断ち切るなんてできないから。
私達の結婚を理由に、雪美さんの濠への想いを簡単に止めるなんてできないのと同じ。

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