溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「やっぱり、大きかったんだな…小山内さん」

「え…?」

「いや…。わかってたんだけど、小山内さんが透子ちゃんに与えるもんは相当大きいって覚悟はしてたんだ…。

でも、やっぱり複雑だ」

少し湿り気のある口調は、どうしようもなく私の心を突いてくる。
有二パパの葛藤すら同じく。

「透子ちゃんの書く絵とかインテリアのセンスとか…やっぱり小さい頃からずば抜けてうまかったし…。
小山内さんの影響だろうって受け入れてたけど。

小山内さんの遺した透子ちゃんへの想いを目の当たりにした途端に…感謝なんかされると複雑だな」

「そっか…」

笑顔を作る有二パパの言葉に、意外に驚かない自分に気づく。
軽く言ってはいるけれど、その言葉に託されている重さは計り知れない。

いつも笑顔と朗らかさだけを私に与えながら葛藤していたに違いない心情を察すると、何度頭を下げても足りないくらい。
私にはもったいないくらいの愛。

血の繋がりがない私には求める理由もないくらいの無償の優しさと恩を与えてくれた…愛しい他人。

「有二パパが…私の父親を意識してるのは気づいてたよ」

自然に出た私の心。
これまで触れる事のなかったテリトリーに二人で足を踏み入れた…。

小山内竜臣という存在は、私達家族にはなかなか話し合う雰囲気をもてない…一種違う領域にいる存在で。

有二パパにしてみれば、母さんの元夫であり私の実の父親。

単純に受け流せるなんて無理。

当たり前のように意識のどこかで、私の後ろ側には小山内竜臣を感じていたはず。

そのせいだけではないけれど、有二パパのその複雑な気持ちはずっと伝わっていたから…小山内竜臣について…何も口にしなかった。

それでも人の心は簡単に変えられないし忘れられないから。

今、こういう場で、小山内竜臣という私の父親を感じながら切ない話をしても、なんだか自然に思える。
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