溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「濠くんが悔しがった、透子ちゃんが着てるスーツだって、俺の存在を忘れて欲しくなくて用意したんだ…」

ははっと笑う有二パパ。

「賞をとってから、透子ちゃんが小山内さんの娘だって騒がれはじめて。

雑誌とかテレビで二人の写真が並べられたりする度に妬いたよ。

俺だって透子ちゃんの父親だってどろどろして苦しかった。
いっそ賞なんて辞退してくれって…情けないよな。
父親のはずなのにそんな事思って。

だから、今日の授賞式には、俺が選んだ透子ちゃんに一番似合う服を着せて、ヘアーメイクも俺がするって決めてた。

…なんか、高校生の初恋みたいだな」

ほんの少し赤くなった頬は、実際の年齢よりも若くて。
高校生のようなてれくささが見える。

職業柄見た目にも気をつけているだけじゃなく、年齢よりも若く感じられる雰囲気には相当の努力もあると思う。
母さんだって、有二パパの美容院を手伝うせいかいつも身なりには気をつけていて。
そんな二人が私の自慢だった。

二人から与えられる愛情を当たり前に受けて、ぎくしゃくしてもおかしくない有二パパと私との関係も良好なままに大人になった。

それは、私以上に有二パパの努力なしには不可能だった。
底無しの愛には私と母さんへの切ない想いだってあったはず。

私には実の父親がいて、会いたがっていたらしいから。
複雑だったはず。

「俺が、透子ちゃんを大切にし過ぎて…逆に今…透子ちゃんにはつらい思いをさせてるよな」

ふっと息を吐いた有二パパには後悔の色しか見えない…。
寄せられた眉も苦しげで。
ようやく口に出せた本当の気持ちをまだ整理しているように見える。

「ごめんな。俺に気をつかって…あいつが透子ちゃんと小山内さんを会わせなかったんだ…」

本当にごめん…。

こぼれ落ちる言葉は、今初めて耳にしたけれど。

私にはぼんやりと…何だか納得して、抵抗なく受け入れるものがあった。

決して冷たい気持ちではないもの。
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