溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
本当はわかってた。

母さんが有二パパに遠慮して、私を本当の父親に会わせようとしなかったんだって、何となく気づいてた。

有二パパが私を大切にしてくれればくれるほど、母さんの様子も変わっていった。

多分、離婚した時には私を父親から引き離す気持ちはそれほどなかったと思う…。
ただ、私との新しい生活を築く事に精一杯で、周りに気持ちを向ける余裕がなかっただけで。
落ち着いたら改めて考えよう…くらいに考えていたんじゃないかな…。

父親と憎み合って別れたわけじゃないって聞いているし…そうであって欲しい。

けれど、有二パパと愛し合うようになって再婚して。

幸せなことに有二パパも私を大切にしてくれたから、その新しい幸せを壊すなんてできなくなったに違いない。

穏やかに過ごす毎日を手放したくなくて、父親と私を会わせる事を拒んでしまった母。

「俺が強かったら良かったんだけど、透子ちゃんが小山内さんにとられるかもって思うと怖くて会わせるなんてできなかった」

申し訳なさそうな声音に何も言葉を返せない。
心底悔やむ姿は悲しみが溢れている。

長い間秘めながら、それでも自分の弱さから抜けられなくて背負いながら。

小山内竜臣という名前があらゆるメディアに出る度に感じたはずの罪悪感は私にも簡単に想像できる。
そんな私の想像を遥かに超えた苦しみを抱えてきた事も。

「有二パパに大切にしてもらえて…幸せだったから。
今日、真田透子として表彰される事も幸せだから。

父親…小山内竜臣も、わかってくれてるよ」

単なる私の願望。
そうであったならいいと
父親亡き今は願うしかできないけれど…。

ただ、二人の父親からの溢れる愛情を受けて育ってきた私の幸運に感謝するばかり。

「…透子ちゃんが、小山内さんと同じ仕事を始めてからは、少し気持ちは楽になったよ」

ははっと小さな笑いには
重い荷物を少し降ろした軽やかさ。
私も応えるように笑った。

きっと、ピンクのスーツに映えているに違いない笑顔で。
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