溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
同じ事柄も、視点を変えれば捉え方も感じ方も違ってくる。
悪い面や切ない面を見ながら過ごしていても、真逆の立場から見直すと、全く違う事柄に思える。

有二パパだって。

小山内竜臣という、敢えて立場をはっきりさせるとするならば、自分にとっては恐怖にも似た戦々恐々としたイメージを持たざるを得ない相手。
私を間に挟んでの不安の元凶。

だけれど。

小山内竜臣…私の父親から有二パパを見た時。
自分が享受するはずだった幸せの殆ど。
私という娘を体と心で愛する機会。

それを奪ってしまった…。

人生の中でのある決断による流れだとしても、父にしたら有二パパは切なく羨ましい存在だったはず。

有二パパを憎んだ事もあっただろうし、母さんが閉ざした私との共有できる時間を求めて苦しんだ事も少なくなかったはず。

私の二人の父親達も、それぞれに違う想いを抱えながら私を愛してくれた。

…私の気付かない時間の中で。

誰もが幸せになれればいいけれど、そうはいかないのが自然なんだって。

立場が違えば幸と不幸は紙一重。

…なんて…達観しながらも、目の前に現れた濠と、雪美さんを見ると。

心はざわついてしまって。

派手に打つ鼓動はどうしようもない。

濠に愛されて結婚して、守られて。
私から濠に愛を贈る事も認められている私の幸せは、雪美さんのつらく悲しい想いの上に成立している。

控室から授賞式会場に着いて、ざわめく会場の雰囲気に緊張しながら周りを気にしている私の視界には、会場の隅で打ち合わせをしている様子の濠。

傍らにいる何人か。
ホテルの従業員の人達の中には雪美さんの姿もあった。
真剣に話をする濠と雪美さん。
二人きりではないし、授賞式の打ち合わせだろうとすぐにわかるけど、やっぱり二人でいる様子は平気ではいられない。

あ…二人の視線が合った…。
笑った…。

近くで、同じ空気感を纏う二人を見るのは穏やかな気持ちじゃいられなくなる…。
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