溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
濠を好きだっていう雪美さんの気持ちがすぐに消える事はなくて、濠だってその想いに対しては自然に任せるつもりだとはわかっているし、納得もしている。

それでも、普段私よりも同じ時間を共有する二人を見ると穏やかではいられない。
私が見られない濠を知っている雪美さんが羨ましい…なんて、思うのは。

傲慢な想いなんだけど…。
私はどれだけ濠を独占すれば気がすむんだろう…。

ふうっと小さく息を吐いた時、何気なく視線を向けた雪美さんと目が合った。
瞬間目を細めてつらそうな顔をした表情に私の胸も痛くなる。

軽く頭を下げる私に応えるように会釈する雪美さんの視線を追った濠が私に気付いた。

周りの人達に何か声をかけて、こちらに向かってくる。

「顔、綺麗にしてもらったんだな」

「あ…うん。有二パパに化粧を直してもらったから…」

優しい瞳の奥に、どことなく揺れる不安な色。
今日の授賞式を迎えて、毎年の事なのに緊張してるのかな…。

「大丈夫か?」

「うん。今はまだ大丈夫。授賞式が始まったら緊張するかも」

ふふふっと、いつも以上に明るく答えても、何故か濠には何かを気にしているような雰囲気があって。
じっと私を見つめる視線も、いつもより神経質に思える。

「どうかした?」

「いや…。ちょっとな」

ポンポンと私の頭を軽くたたいてる濠は苦笑しながら

「…もっと泣いて俺を頼ってくれても良かったのにな…。

って自分勝手な事考えてた」

「え…?」

会場にいるたくさんの関係者達が私達の周りを行き来するのを気にしながら、照れる想いをどうにか隠そうとしながら。

「仁科さんと二人で話をした後も有さんと話した後も…いつ俺に泣きついてくるかって待ってたのに…意外にしゃんとしてるしな…。

いざとなったら透子は強いってのが…イラつく」

小さく零れる言葉は、心底そう思ってるとわかるくらいに重い。

そして深い。
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