溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「俺って、そんないい男か?」

「は…?」

くすっと肩を揺らした濠は、明るく笑っていた。

「雪美みたいないい女にあんなに切なそうな顔させられるほどいい男か?」

「え?え…と」

私に視線を戻して、軽い口調で…。

「雪美は長い間近くにいた大切な奴だし、友情だけでない甘い気持ちもあるけど、人間としての情…それは捨てられない。

どうでもいい女じゃないから突き放せないしな。

でも…透子が悲しむなら雪美とははっきりと距離を置くから。
仕事変えてもいいって思ってるから」

決して深くない、重くない声音はまるで、

『愛してる』

って伝えてくれてるように聞こえる。

「俺が、雪美を大切にする気持ちを捨てる事で透子が幸せになるなら、そうするし…透子が望まない事はしないから。

安心して切なく悩め。

どんなに悩んでも、俺が透子を一番に考えてるのは変わらないし手放さないから」

甘い…蜜のような響きが私を包む…。
愛されてる限りこの感覚は変わらずに纏う事になるんだろう…。
濠の想いはわかってたはずなのに。

「…雪美さんの気持ちはどうにもできない。

濠を諦めるにはしばらくかかるし…。

濠さえ私を…私だけ愛してくれれば…それでいい。

仕事もやめるなんていわないで」

「いいのか?雪美が近くにいる状態は変わらないぞ。
透子よりも長い時間近くにいるし二人きりになるぞ」

「…大丈夫。濠が私を愛してるのわかってるし…。濠が今の仕事を大切にしてるのわかってる。

雪美さんだけじゃなくてみんなに好かれてる濠も好きだから大丈夫」

「…そっか…。

そう強くなられるのも…複雑だな。
いっそ泣いて雪美とははっきりとつながりを切れと言ってほしかったけどな…」

「濠…」

「ま、透子が強くなったのは、このコンクールの事とかで実感してるけどな」

「あ…黙っててごめん」

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