溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
どうして濠にお祝いの言葉を言うのか…。
わからないままいると、くすりと笑って、ぽんと私の頭を撫でながら

「賞のお祝いじゃなくて結婚のお祝い。
真田さんには何度か会ってるけど、まさかこんなタイミングで結婚するとは思わなかったな…」

「こんなタイミングって?」

「ん…?大賞とったら、しばらくは忙しくてプライベートなんかなくなるって聞いてるから…。

それに…俺にもまだ時間あるかな…って…。

あ…いい…これはいい」

どことなく悩みを隠すように笑っている喬。
いつも飄々としていて自分の気持ちは見せない様子には慣れているけれど今…ほんの少し見た苦しそうな顔は、普段よりも愁いもある…。

「時間があるってどういう事?」

「いや…なんでもない。
それよりも、本当におめでとう。
大賞と…結婚…」

「あ…ありがとう…」

突然明るい声音で、そう私と濠に伝えた喬にはやっぱり普段と違う温度を感じてしまう…。

「真田さん…透子は真田さんしか見てないんで…幸せにしてやって下さい」

それまで何も言わずにいた濠に、頭を下げる喬。
すぐに顔を上げて、まっすぐに見据える先には濠がいて。
二人がただ黙って瞳の奥を探り合うような…妙に複雑な雰囲気。

端から伺う私の戸惑いなんか無視されてるみたいに。

「透子には俺がいるし、俺にも透子だけだから」
重い口調で、まるで言い聞かせるように…濠の表情も同じように重い…。

「濠…?」

言葉の意味だけ考えると甘い気持ちが溢れていて恥ずかしいけど…何だか二人の間に漂う空気には甘さなんかまるでない。

お互いを牽制しあうだけのピンとした空気のみ。

…二人って、仲が悪くなるほど親しくなかったように思えるんだけど…。

どうしようかわからないままいると、濠がその場の空気に気付いたかのように

「…透子には、これからしばらく放っておかれそうだけどな」

と苦笑した。

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