溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「いいけど…。
そんな大事な事、早く言えよ。
大賞とった物件って、俺だって見たい」

「ごめん…濠が今日お休みだって知らなかったから。
でも、濠にも見て欲しいから…一緒に行こう」

「わかった。

で、場所は?車出した方がいいのか?」

そう言うと、濠は私の頭を軽く撫でてテーブルについた。
並んでるサンドイッチに手をのばす。
コーヒーメーカーからコーヒーをカップに注いで手元に置くと、嬉しそうに視線を向けてくれる。

何度迎えても幸せを感じる朝のまったりとした時間が、本当に大切に思える。

私のカップにもコーヒーを注いで濠の向かいに座ると、目に入るのはお揃いのコーヒーカップ。
色違いの水玉模様は、いつも並んで食器棚に収まっていて、使う時にはいつも一緒に使っている。

私が濠から離れようとした時に、私一人のカップだけ買った。
お揃いで買える気持ちの余裕がなくて、ましてやそんな一つきりのカップを見た濠の気持ちを思いやるなんてできなかった。

しばらくして、濠自ら買ってきた色違いの水玉模様のコーヒーカップ。

もう二度と、このカップを離れて使う事がないように、いつも気持ちを新しく引き締める。

変わる事のない気持ちを信じてるけれど、私の馬鹿な行動で傷つけたに違いない濠の気持ちを思い出す度に、もう二度と軽はずみな間違いはしないと強く思う。

離れるなんてできないし濠も同じだから。

お揃いの水玉は、私がずっと濠を大切にしていくための誓い。

…そっと…両手の中のカップに想いをはせる。

「…ねえ濠…、今日行く現場は…あの病院の側なの」

ゆっくりとした私の言葉に、濠は何かを感じたのか無言で視線だけを向けてくる。

ほんの少し不安げに。

「私達が初めて会ったあの病院の側…っていうか隣なの…」

「…」

少し眉を寄せた濠は、ふっと微かな息を吐いた。

「透子があの病院に行くのは…懐かしいな」

そう…。

当時手術を執刀してくれた先生が転勤したせいで、私も病院を変わったから。

本当に久しぶり…。

『懐かしい』

って濠が言った言葉の穏やかさにホッとした。

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