溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
入院費用のために働かなければいけないし、他にも兄弟がいれば、その子供達にも気遣いが必要だし…。

家から病院が遠ければ、それだけで通う事が難しくなる。
親なんだから、子供と離れるなんて苦しい現実…。ましてやつらい治療に立ち向かっている子供を毎日抱きしめたいに違いないのに。
それができないじれったさは想像するに難くない 。
待合室で、母さんが他のお母さんと涙しながら励ましあっていた様子も忘れられない。

だから。

コンクールに出品する作品は、患者の家族が患者の近くで生活できる空間にしようって決めた。

『あかりが見える距離』

タイトルには、面会時間が過ぎた病室から見える家族のいる部屋。
そんな想いをこめて。

きっかけはどうあれ、コンクールへの参加を決めてからは小さな頃に願った事を形にしようとがむしゃらに頑張っていた。

思うように子供の側にいられない親が、せめて数日でも病院の近くに寝泊まりできて、そして、他の家族達も一緒に暮らしたいなら長期でも生活できる建物。

それが、大賞を受賞できた作品。

実際に、受賞作品が建築される事は滅多にないけれど、その作品を見てくれた病院側からの依頼で形になる事が決まった。

偶然にも、私と濠が入院していた病院からの話だと聞いた時、小さな頃に寂しさをこらえていた友達の顔がたくさん浮かんできて涙を我慢できなかった。

きっと、この物件で手助けできる家族はほんの一握りに違いなくて、まだまだ大変な毎日を過ごす患者とその家族はたくさんいるはず。

それでも、ほんの少しの人でも。
心穏やかな時間を送る後押しができれば、無駄ではないから。

私の生かされた命にも意味を感じられる。

< 324 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop