溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「夕日が綺麗に撮れそうだから、あっちに行ってくるね」

うきうきとした声で、現場の向こう側に歩いていく弥恵さん。
ヘルメットが妙に似合ってるし着用にも慣れてる。
きっと父さんに連れられていろいろと回ったんだろうな。

「透子が大賞をとった甲斐があったな。
この建物があるおかげで穏やかに治療に集中できる家族もいるだろうしな」

まだはっきりとした全景はわからない建設中の現場で、優しい声で濠が笑う。

いつも傍らで私を包んでくれるのにも慣れて、結婚という契約の幸せを何度もかみしめる。
長い間一緒に過ごしてきたけれど。

一緒にいられる当たり前に慣れて、ここまで結婚によって安心感をもてるなんて思わなかった。

紙切れ一枚の大切さを味わう事ができて…。

間違えずにここまでこれた事を何に対しても感謝したくなる。

そっと濠の手を握ると、指を絡めるように握り返してくれた。

「なぁ、大切な人が側にいるって幸せだな」

「ん…?」

「入院しても、家族が近くにいるだけで頑張れるもんな…」

「そうだね…」

病気と闘うには、闘うためのいろんな環境を整える必要がある。
看病する家族があらゆる問題をクリアできるほんの手助けができれば、私がコンクールに参加した意味がある。

早く完成しないかな…。

「今の家…」

ぼんやりと考えていると、濠の声。

「何?」

見上げると濠の横顔も何かをぼんやりと思い出してるよう…。

「結婚してから引っ越してきた今住んでる家。

インテリアとか透子がやってくれただろ?」

「うん。…楽しんでやったけど…それがどうかした?」

「俺が、唯一出したお願い覚えてる?」

「えっと…あ…カーテンの事?」

おぼろげに記憶をたどりながら呟くと、絡める濠の指先に力が入った。





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