溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「遮光カーテンにしてって突然言われたからびっくりした」

結婚式が終わった後、手狭に感じていた濠の部屋から引っ越す事になって。
私の仕事柄、インテリアやリフォームがらみの繋がりもあって、私がほとんどをてがけた。

家具はもちろん多少リフォームもしたせいで、私好みに仕上がった新居。
いずれは私の設計した家を建てる予定で、今回は賃貸の3LDK。

築3年の綺麗なマンションは南向きのベランダがお気に入り。

私の趣味に任せると、一切口出ししなかった濠が唯一出した注文は

『寝室は遮光カーテンにして欲しい』

だった。

「今まで、あんなに遮光カーテンは部屋が暗くなるから嫌だって言ってたのにね。

何か心境の変化でもあったの?」

ずっと気になりながら聞くタイミングがないままいた疑問。
ずっと遮光カーテンは嫌だと言っていた濠の想いの変化が気になる。

「ん…。透子がずっと側にいるっていう安心感と、逃がさないって思える自信かな」

「…は?…何の事?」

一人思い返すように、苦笑しながら。

濠は私を見下ろした。

「透子の心臓の音を聞きながら、ホッとしながら…目が覚める朝と同じ理由」

「朝…?」

「そう。すごい恐怖だったからな。
朝…何も聞こえなくて…聞こえないのは夜だからだって…目が覚めるか覚めない意識の中で暗い部屋でそう感じながら眠り続けてたら、突然母さんが起こしに来て。
遮光カーテンをあけたら眩しい朝はとっくに始まっていたんだ。

何の音も聞こえない世界の始まりは、光を遮っていたカーテンが教えてくれたから、暗いままで寝るのが怖かったんだ」

自嘲気味に視線を泳がせる濠の横顔は、ほんの少し辛そうに見える。

突然耳が聞こえなくなった朝の事は何度か聞いた事があるけれど、暗闇の中で音もなく…さまようような眠りから一気に現実を知らされた朝の光については…はっきりと聞いた事はなかった。
< 327 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop