溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「また…いつ耳が聞こえない朝がやってくるのかって考えたら不安で透子の心臓の音を聞きながら眠って…それでも暗闇はやっぱり苦手で。

朝の光を感じながら目が覚めるように…ずっと遮光カーテンにしてたんだ」

濠にとっては思い出したくない過去。
重くて怖くてささやかな希望すらない朝が再び巡る事に怯えながら…私の心音をたよりに夜をこえていた。

心音を聞きながら眠る濠の真意も永く理解しなかった私の罪がまた増えた気がする。
単純に、明るい部屋で目覚める朝が好きなだけで 他に大きな想いがあるなんてわからなかった。

…ごめん…

そう口にしようとした私に気付いたように、濠の手がさらにきつく私の指に絡まる。

「そんな弱い俺に気づかなかった透子に感謝してる」

「え…?」

「本当の気持ちを掬い上げてくれるのだけが愛情じゃない。
俺には…透子がずっと側にいてくれる未来があれば、何でも乗り越えられるんだ」

「…でも…」

「俺の弱さは、俺一人が知っていればいいんだ。透子に分け合ってもらおつなんて思わないし、プライドを大切にしたいって…妙に頑固にもなったし。
自分の事に必死だった透子が、俺の弱さを見過ごしてくれた事、感謝してる」

感謝…されるような事じゃないと思うし…自分のふがいなさに情けなくなってしまう。
完治しているのかどうかわからないままに過ごさなきゃいけなかった長い間、暗闇が怖くて…私の心臓の音に安心感を求めていた濠。

どうってことないっていう様子の向こう側に気付けなかった私。

感謝なんて…おかしい。

「透子が見当違いな悩みで俺から離れようとしてた時の、彩香ちゃんとの見合い話のおかげでふっ切れた。

もう体は大丈夫だろうしもしもまた耳が聞こえなくなっても、それを補える自信もあったから。

…だから、遮光カーテンにしてくれって言ったんだ」
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