溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「あ…こっちも」

もう一方の濠の手も私のお腹に添わせると、驚いているままの濠の様子は更に混乱している。

…そうよね…。
私だって最初聞いた時には呆然として…頭の中が真っ白になって…そして涙が止まらないくらいの幸せがこみあげた。

「ちゃんと二人分感じてあげてね。
両手それぞれに赤ちゃんの心音が響いてるはずだから」

なんでもない事のように軽く言いながら、にっこり笑ってみると。

「え…?それって…」

「ちゃんと心臓も動いてたし、お医者さんにも
おめでとうって言われたよ。

来年の夏には四人家族だからね」

「四人って…え…もしかして」

私の目を見ながらしどろもどろな濠からは、期待しつつも不安げな声がこぼれてくる。

きっと嬉しいんだろうな。
子供欲しいとはあからさまには言わないけれど、先週も野崎さんの娘さんの桜ちゃんと会って楽しそうに遊んでたし。
言葉にしなくても、いつか父親になる日を楽しみにしてたはず。

「四人家族って、…二人いるのか…ここに?」

私のお腹の上にある手元
をじっと見つめてる。
見つめながら問い掛ける響きには、そうであって欲しいと願う想いも感じられる。

「当たり。双子なんだって。赤ちゃんが育ってる袋もちゃんと二つあったよ…あとでもらった写真見せるね」

「双子…」

「びっくりでしょ?
なかなか赤ちゃん授からないなって悩んでたら双子だもん…。

早く会いたいな」

濠の手に私の手を重ねると、びくっと跳ねた気がした。

「濠…?」

「大丈夫なんだよな…?透子は…大丈夫だよな?」

微かに震える声に顔を上げると、どう見ても動揺している濠。
じっと私を見つめてる。

「私は…大丈夫」

一語一語、強くそう伝えても濠の表情は落ち込んだまま。
不安げに揺れる瞳は普段見ないくらいに切ない。

「心臓なら、大丈夫だから安心して」

「…」

無言の不安を隠そうともしない濠は、小さく息を吐くと。

そっと私を抱き寄せた。
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