溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
出産によって、自分の命を落とす可能性がかなり高かった柚さんは、旦那様の野崎さんの心配をわかっていながらも必死の思いで産む事を決意したと聞いている。
周囲の願いが無事に届いて、元気な赤ちゃん…桜ちゃんを帝王切開によって出産した後はリハビリと野崎さんの深い愛情によって体調も回復している。

柚さんは、昔交通事故で体の多くを損傷していたせいで出産にはリスクが伴っていたけれど、私はちょっと違う。

「ねえ濠」

相変わらず抱きしめる濠の腕を解いて、濠の膝の間に立って…ゆっくりと頭を抱き寄せた。

ちょうど濠の額が私のお腹に触れるように引き寄せた体からは微かに震えも感じる。
こんなに怯えてる姿は、長いつきあいの中でも初めてかもしれない。

震える濠には申し訳ないけど、こんなに弱い濠に愛しさと可愛さがこみあげてきて温かくなってくる。

「私の心臓の音が聞こえるでしょ?」

「ああ…」

力が抜けたように私に体を預ける濠の頭を優しく撫でる。

「私の心臓の音は濠を不安から守ってくれたんでしょ?」

「…ああ、そうだ」

「きっとね、私のお腹の双子ちゃん達も私の心臓の音を聞きながら育ってると思う。
とくとくって優しい鼓動に守られて安心して…私を信じながら大きくなろうとしてると思わない?」

「…」

「私と濠に会えるのを楽しみにしながら…私のお腹で寛いでる濠の赤ちゃん達を諦めるなんてできないし、絶対しない」

「透子…」

「柚さんと私は違う。
私の心臓は出産だって大丈夫だから、ちゃんと信じてよ。
濠の赤ちゃんは、濠と同じ。私を苦しめたりしないし濠を悲しませたりしない」

「…わかってる、わかってるけど…。あの時…柚さんの出産の時の健吾の苦しんでる様子が忘れられないんだ…」

私の腰に回された手は震えながら…徐々に力が入って。

抱き寄せられながら、それでも私の気持ちは変わらない。

濠の不安も心配もわかる
し私も不安が全くないわけじゃない。

それでも。

「絶対に産む。四人で幸せになれるから、私を信じて」

愛しさをかみしめながら、濠の体温を感じた…。
< 335 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop