どこかで誰かが…
そして、大沢が言っていた試合の日…

佳菜子とゆっこは、午前中の練習を終えると慌てて着替え、身なりも程々に部室を後にした。


「あれ?どーしたの二人して?」

「佳菜子の彼氏の試合なんだって。」


コンビニでおにぎりを買って、移動中にこっそりと食べながら、

「前半の途中には間に合いそーだね。」

「うん。」

兎に角、試合に間に合うことだけに必死だった。


К校のそばまで行くと、微かに歓声が聞こえてきて、

「やってる!」


ようやく辿り着いたギャラリーで、佳菜子とゆっこは汗だくだった。


「良かったね佳菜子!まだどっちも点入ってないよ!」


得点を見ながらゆっこが言うと、

「…ねぇ、S校ってさ…」

「あ…」


試合の相手校は、高木が転校して行った学校だと気が付いた。


「聞いてなかったの?」

「…うん…」

「でも、サッカーだから…」

「…だよね。」


余計な言葉は無くても、会話が成立する二人。


とは言いながらも、念のため、
高木の姿が有りはしないかと、
あらためて周りを見渡した。

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