どこかで誰かが…
「そんなこと誰も言ってないでしょ。」

「前の女に言われ…」

「そーなんだ。」

「違う違う、」

「ふふっ、彼女がいたことくらい分かってるってばぁ。」

「…」

「私もね、2回言う癖があるから、同じだなぁって思ってさ。」

「キヨの口癖が移ったんだよ。」

「あ。(そーゆーこと?)そっかー、清瀬からぁ…」

「なんだよ?」

「なんでもない。…清瀬に恋愛相談でもされた?ゆっこちゃんは私の友達だから、ちょっと気になって…」

「高木後遺症だってさ。」

「え?…清瀬が言ってたの?」

「こんなことキヨに言うなよ!」

「う、うん。(だってゆっこちゃん、すっかり清瀬に…違うのかな?それとも)清瀬の思い込みじゃなくて?」

「…分かるんじゃねーの?感じんだよ、やっぱ。愛がねーって。」

「…」


大沢に後ろめたさを感じながら、ゆっこと自分が同じ状態なことに、驚いて仕方がない佳菜子。

その反面、

バスケの最中や、清瀬と話してるところを見ても、元気そうに見えるゆっこが、
心のどこかで高木のことを忘れられないでいるのかと思うと、
一段と、ゆっこに対しての親しみが湧いてくる。


そして、登下校中、一緒になった清瀬には、なんとなく、優しく労ってあげたくなるのだった。

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