どこかで誰かが…
そんな佳菜子の背中に向かって、

「なんかあった?」

結局、面倒くさそうにたずねるが、

「別に…」

思った通りの、可愛げの無い返答に、

「じゃあ乗ってけよ。こっちの方が速いし。」

負けずに迫ってみせた。


すると、

「定期もったいないから。」


その答えには、

「でも、電車は2往復してんだから、元は取ってんじゃん。」

「…」

すぐに言い返せない佳菜子に、勝ち誇った顔をしてみせ、

「ったく素直じゃねーなホント。乗ってきゃいーじゃん!ミシン…しなきゃなんだろ?」


なんだかんだ言っても、佳菜子を後ろに乗せて、
家路へと向かうペダルを、ゆっくりと漕いで行く。


「もっと早く漕げないの?」

「おまえが重いんだよ。」

「鍛え方が甘いんじゃない?」

「競輪選手じゃねーし。」

「あたしが漕ぐから、あんた走れば?」

「…おまえ、」

「なによ?!」

「日に日に可愛くなくなってるぞ。」

「あんたの前でだけだから大丈夫ですぅ。」

「やっぱり降りろ。」

「なによぉ、今さらぁ。バス通り外れちゃったじゃん。…お願〜い、かーくん。」

「よーし。」

< 167 / 433 >

この作品をシェア

pagetop