どこかで誰かが…
「…寝坊でもしたの?」

「ねーちゃんが使ってた駐輪場、俺が継続することになってさ。」

「あの駐輪場、なかなか空きが出ないんだよね…」

「さすがに洒落込んでチャリには乗れねーってさ。」

「女子大生かぁ。」

「志望校決めた?」

「こんな私でも入れてくれるところ。」

「どこだよ、そこ。」

「じゃあ、あんたは?」

「なんとなーくな。」

「…そうなんだ。」

「なに?」

「なーんか、皆、離れていっちゃうなーって思って…」

「んな、しょうがねーだろ。いつまでもくっついてるワケにはいかねーよ。」

「…ゆっこちゃんと同じトコ行くの?」

「ナイな。」

「え!」

「わざわざ“別のトコ”って選び方はしないけど…無理に同じトコには行かないよ。」

「そっか。」

「あいつ、心理学とかに興味があるみたいだし。」

「あ…あってるね!私いつも相談にのってもらってるし。」

「…やっぱ、今日俺、邪魔だった?アイツに話があったんじゃねーの?」

「うううん。…もうね、解決したの。ついさっき…」

「…じゃあ、…あとは泣くだけか?」

「…」

「我慢すんなよ。どうせ家じゃ泣けねんだろ?…俺、後ろは見えねーから。」

「…うっ…ううう…」


珍しく、清瀬からの優しい言葉に、涙があふれ出て仕方がない佳菜子だった。

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