どこかで誰かが…
しかし…

大沢に求められると、
自分の必要性を実感することができた。


その腕の中で、ぬくもりを感じている時、

“ふたりで居れるのなら、それでいい。”

そんな風にも思えてくるのだ。


“こうして、孤立していったとしても、淋しくなんかない。
もう、あの頃とは違うんだし。”


完全に二人の世界に入り、周りが見えなくなりはじめていた。


そして、その日も、
大沢の温もりを受け止め
自分も、しがみつくように、大沢を求めている。

まるで、

佳菜子から離れて行こうとする、ゆっこへのやるせない気持ちを、大沢の身体を借りて、身代わりにするかのように…


そんなことをしても、なんの解決にならないことくらい、分かっているのだが、

その時だけは、嫌なことも忘れ、何も考えずに、
心が安らぐことができたのだった。

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