どこかで誰かが…
次の日の練習は早朝からだった。


木曜は元々練習がない日で、午後にはバレー部に体育館を渡さなければならない。


夏休み中の午前中は、他の部活動との争奪戦の末、勝ち取った貴重な時間なのだ。


「どーしたんだろ?男子遅くない?」


女子が疎らに揃いはじめてきたというのに、
男子は、まだ一人も姿を見ない。


あんな話しを聞かされた佳菜子は、少し…いや、だいぶ高木のことを意識していて、体育館に人が入ってくるたび、そわそわして仕方がなかった。


「昨日のミーティングで、なんかあったのかなあ?」


近づいてきた声の持ち主である、ゆっこの顔も、実は、まともに見れずにいる。


(ゆっこちゃんが高木くんを…だって、どちらかと言えば望月くんと…)

と、その時、

「大変大変!」

吉田がバスケットシューズの紐も結ばないままの状態で現れた。


「どーしたの?」

「高木がね、昨日で学校辞めたんだって!」

「なにそれー!なんで?」

「ウソでしょ!」


皆が驚きの声をあげる中、
佳菜子は咄嗟にゆっこを見た。


吉田から問い詰めるように、必死に理由を聞きだしているゆっこ。


「阿部の話だとね、」


吉田が説明をはじめた。

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