どこかで誰かが…
高木が編入してくる、少し前の、ある朝のこと…
ゆっこは、クラスメイトの男子が佳菜子と一緒に登校する姿を見かけた。


特に仲が良いようには見えなかったが、
素っ気ない態度のわりに、
近過ぎず離れ過ぎない距離感が、二人の仲を親密に見せていた。



「おはよう清瀬。」

「んぁ、オッス。」

「…」

「何?」

「佳菜子と一緒だった?」

「あー。」

「いつも?」

「たまに。バスが同じなら電車も同じのに乗るからなぁ。」

「ふーん…仲良いんだ?」

「べつに。…悪くも無いけど。」

「どーゆー仲?あたしは、おな中の男とは登校なんてしないけど…ダサ男ばっかだしねぇ。」

「話しはするだろ?」

「そりゃあね。」

「…朝からペチャクチャ話し掛けられるのってウザイ時あんじゃん?堀口と居ると話さなくていーからさぁ…ほっとくとアイツ一人になるし。」

「あ…」

「なんで?」

「ん…つきあってんのかと思って。」

「勘弁しろよ。俺じゃねーし。」

「え?」

「あ、まだそーゆーんじゃねーか」

「?…(佳菜子に、そーゆー人がいるってこと?)」


それからも何度か見かける佳菜子と清瀬は、
よーく見なければ、一緒に歩いているようには見えず、清瀬だけが友達に話し掛けられたりしていた。

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