憂いの塔



それを見下ろしながら、ソイツは血塗れの刀を一振りした。


辺りに血が飛び散る。





平常心になった今、

フクロウが鳴いている事に気が付いた。




刀を仕舞い、乱れた着物を整えた後、

ソイツは暗い闇へと消えていったのだった。







闇に紛れてしまえば見えなくなり、

凍て付いてしまえば分からなくなる。



(そう、それが紅い血だとは、誰も)





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