憂いの塔
第二章







陽の半分が、地平線に呑まれていた。





『民宿 ねこた』


そう描かれた看板が傾き、その所為か、寂しく震えているように見えた。



実際、辺りは静まり返った街並みだ。


人通りは少なく、時々 夜行性ではない妖怪がヨロヨロ歩いている程度だ。


殆どが夜行性の奴らで、夜になればこの町も活気づく。




そんな町に、母と娘、2人で営業している民宿『ねこた』があった。



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