人はそれを恋と呼ぶ


「お前ら何言ってんだ?由紀がとうとうアイツに愛想つかして別れたいって事だろ?めでたい事じゃねーか!」


もっとうっとうしい声が聞こえて、あたしは振り返りもせずに席を立った。


「兄ちゃんは嬉しいぞー由紀の目が冷めてくれて。由紀にふさわしい男はゆーちゃんじゃなくても沢山いるんだからな」


貴兄ちゃんの嬉しそうな声を無視して、あたしは意を決して陸と拓を見た。


「…わかったわよ。ゆーちゃんちに行って謝って来るわよ。それでいいんでしょ」


2人してニヤニヤ笑う双子の弟達と、その後ろで絶句する貴兄ちゃん。


相変わらずシスコンな貴兄ちゃんは、やっぱりあたしの事を全然わかってない。


ゆーちゃんに愛想つかすなんて事はあたしに限っては…


絶対有り得ないっていうのに。


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