嘘つき⑤【-sign-】

胸の警鐘が鳴り響いたのが何故かは知らない。


ただ、



薄暗い扉に僅かに漏れる光に誘われる様に、私はその場所に立っていた。



その淡い光の向こうから聞こえる声が、



女の人の艶めいた短い吐息だと気付くには時間はかからなかった。



…嫌ですわ。



その一瞬の嫌悪の刹那、すぐに立ち去ろうと止まった体を動かせた時、






聞こえたのは、




「…清吾さ…ん…」




甘く途切れ途切れの喘ぎ声と一緒に落ちた





瑠香さんの声。


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